持続可能で高付加価値な茨城農業を
創る:JA新ひたち野 キュウリ農家
太田和良さん

小説の中では、人に語り掛けるように人間以外を相手に物語が進んでいくことがあります。村上春樹さんの羊男、川上弘美さんの小動物、小川洋子さんの場合「ことり」との会話が中心。夏目漱石は猫の目線から物語を始めました。

「ありがとう!」「元気か?」と、今回のインタビューの中で自分の育てたキュウリに何度も破顔の笑顔で語りかける太田和良さんは、小美玉市玉里に住む39歳のキュウリ農家です。

持続可能で高付加価値な茨城農業を創る:JA新ひたち野 キュウリ農家 太田知良さん

太田さんは新卒として当時のJAひたち野に入組、地元のレンコンやキュウリ農家対応を中心に仕事をしていました。その仕事の中で「高齢者が多くて、後継者がいる農家ばかりじゃないな」、「自分の地元から、これだけの農業が消えていくのは辛いな」と感じることが増え、8年間働いたJAを離れて就農することを決意します。

最初に選んだのが法人としての農業共同経営、しかし挫折を味わいます。その後、平成25年キュウリ栽培に特化した農業を始めます。ちょうど、地元のシニア世代キュウリ農家から、ハウス1棟を貸してもらえることになりました。周囲の農家の手助けもあり、今や10aのハウスに900本のキュウリを年間で2回転、たった一人で苗の植え付けから収穫まで毎日やっています。

「地元のキュウリ農家が頑張ってここまでやってきたのに、後継者がいないだけでこんな誇れる仕事を残せないのはもったいないな」。地元を衰退させたくないという思いが人一倍強いのは、先輩農家たちの姿をJA側から見ていたからかも知れません。

毎日早朝にハウスに来て、収穫、箱詰め、荷造りをして3時までに集荷場に出荷します。その後に収穫量を増やすための作業や病害虫を防ぐ処置などをしていくのがルーティーン。ハウスのビニール張替えは大仕事、それも周囲の農家が力を借してくれます。

将来は結婚して二人で農家を拡大していくのかと思いきや、そこはきっぱりと否定。結婚しても農家としては法人化を目指し、地域の働き手やパートさんたちと一緒に自分の農場を拡大していきたいと力強く語っています。

これから就農を考えている若手農家に対しては、「いろいろな心配事もありだろうし、多額の結構の設備投資に不安になると思う。自分も周囲の先輩農家がいろいろと面倒を見てくれ支援してくれた。まずはやってみて、そこから判断でも全然遅くない。近くなら自分を頼ってくれてもいいから」と頼れるメッセージが聞けました。

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