平成17年12月28日放送

足の痛み〜特に外反母趾について〜
総合病院水戸協同病院
整形外科科長 野内 隆治
司会:今回のテーマは足の痛みと言うことですが、足の痛みがでる原因としてどの様なことが考えられるのでしょうか?
野内:足は体の中で歩く時に唯一直接地面と接触し、全体重を支えている部位です。そのため、過度の負担がかかりやすく、慢性的な深谷外傷によって痛みが生じやすい部位と考えられます。
司会:足に痛みが出ると歩くのがつらいですよね。
野内:そうですね。足は正常であれば全体重を支えながら長距離歩くことができ、一見頑丈そうですが、靴の中に小石ひとつ入っただけでも痛くて歩けなくなってしまうという、痛みに弱い面も持ち合わせています。痛みで歩くのがつらくなると、日常生活にも支障が生じますし、膝や腰にも負担がかかり他の場所にも痛みが出てしまうことがあります。
司会:足に痛みが出る病気にはどのようなものがあるのでしょうか?
野内:足の疾患は子供から高齢者まで様々な疾患が見られます。
司会:年代別にはどのような病気があるのでしょうか?
野内:子供では生まれつきみられる内反足や奇形といった先天性疾患がありますし、成長に伴い、骨や成長軟骨に痛みの出る骨端症といわれる障害があります。学生になるとスポーツに伴うオーバーユースによる痛みがある他、靱帯損傷や骨折などの外傷による障害もみられます。成人では外反母趾や扁平足、変形性膝関節症などの進行性に足に変形がみられ痛みの生じる疾患が増えてきます。
司会:足に痛みの出る疾患はいろいろある様ですが、時間の制約もありますので、今回は女性に多く足の親指の変形と痛みを伴う外反母趾を中心に話を聞きたいと思います。足の親指の変形や痛みがあり、外反母趾ではないかと心配されている人も多いかと思いますが、外反母趾では具体的にどのような症状が出るのでしょうか?
野内:足の親指のことを母趾といいますが、外反母趾では母趾が付け根の関節で外側に反って『く』の字状に曲がります。そのため母趾の付け根の関節の内側が腫れて赤くなり、バニオンと呼ばれるコブをつくります。母趾の付け根の関節の内側には押すと痛みがでるようになり、特に靴にあたると強い痛みが生じてしまいます。
司会:なりやすい要因はあるのでしょうか?
野内:外反母趾は男女比でいうと1:9と圧倒的に女性に多く、女性、遺伝、ハイヒールが三大要因と言われています。
司会:何歳ぐらいから症状がでるのでしょうか?
野内:ハイヒールを履きはじめる20歳代前半から好発します。一般的にハイヒールを履かなくなると痛みは軽くなりますが、ある程度以上の変形があるとその後も変形が進行し、普通の靴でも痛みが生じるようになります。また、外反母趾が進行すると母趾の変形に留まらず、もともとあった足の丸みが失われベタ足となる開張足や、小指が内反する内反小趾といった他の足の変形を伴うようになります。重症になると母趾が隣の指の下にもぐり込むようになり、足の裏にも痛みが生じてしまいます。
司会:外反母趾の要因としてハイヒールなどの靴の要因があるそうですが、何か予防法はあるのでしょうか?
野内:外反母趾では靴が原因の一つとなることから、適切な靴を使用してもらうことが大切です。一般的にはローヒールで、つま先に余裕のある靴を選ぶことになります。また、日常生活の注意としては足に負担をかけないようにするため、太らない様にすることや長時間の立ち仕事を避けることも大切です。それでも外反母趾による痛みや変形がみられる場合は整形外科の受診をお勧めします。
司会:整形外科ではどのような治療を行っているのですか?
野内:まずは診察とレントゲン写真で重傷度の判定を行いますが、いつも履いている靴や、履くと痛みの出る靴を持参していただけると診察の参考になります。治療はまず靴の改良や運動療法、装具などを用いる保存的治療を行いますが、保存的治療でも痛みが軽くならない場合は手術的療法を行います。
司会:保存的治療は具体的にはどのような治療を行うのでしょうか?
野内:外反母趾では靴が原因の一つとなることから、適切な靴の指導を行います。いつも履いている靴や、履くと痛みの出る靴を持参していただけると参考になります。また、外反母趾では母趾の変形以外にも、もともとある足の丸みが失われる扁平足やベタ足となる開張足を合併していることが多く、その場合には足の形を支える足底板といわれる装具を作ることになります。他の装具療法としては指の間に挟む装具や母趾を内側に引っ張るサポーターがあります。一般にも販売されていますが、一度生じた変形を回復させるまでの効果は期待できないようです。また、外反母趾では変形により関節自体が拘縮といって動きが悪くなることや、内側に動かす筋肉が弱くなっていることがあります。この場合は、関節のストレッチングや筋力トレーニングといった運動療法を行います。痛みが強ければ痛み止めの内服をすることもあります。
司会:手術的治療では具体的にはどのような方法があるのでしょうか?
野内:外反母趾の手術の方法は一つではなく、多くの方法があります。それぞれの外反母趾の変形の程度に応じて手術を行っています。一般的な手術の方法としては、母趾の手前にある中足骨という骨を切って、向きを正常にする手術が行われます。変形の程度により骨を切る場所が変わることがありますが、手術により外見上の変形や母趾の付け根の痛みの改善が期待できます。
司会:外反母趾の治療法にもいろいろな方向がある様ですね。最後になりますが、足の痛みを抱えている人に何かアドバイスはありますか?
野内:足に痛みを抱えている人は多いと思いますが「たかが足の痛みで」と考え、痛みを我慢し病院を受診されない方が多いのではないでしょうか。足の痛みがあると膝や腰に負担がかかり痛みが出ることもあります。また、痛みにより運動不足になり、肥満や成人病の一因となることもあるので、痛みが長引くようであれば整形外科の受診をお勧めします。

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