平成17年08月31日放送

やさしいアレルギーの話
総合病院土浦協同病院
皮膚科科長 山本 俊幸
司会:まずはじめに、アレルギーについて簡単に説明して下さい。
山本:アレルギーは、簡単にいうと、ある物質(抗原と言いますが)に過敏に反応してしまうことをいいます。症状が出る部位は、呼吸器、鼻や目の粘膜、皮膚などで、どこに症状が出るかによって受診する科が違ってきます。
司会:アレルギー体質というのは、アレルギーを起こし易い体質のことですか?
山本:はい。ほぼそのように考えてよいと思います。ただ、アレルギーという言い方は非常に漫然としたもので、正しくは、何に対するアレルギーという言い方が正しいのです。
司会:どのような病気がありますか?
山本:代表的な病気として、喘息や花粉症、アトピー性皮膚炎がありますが、この他、皮膚科でみるアレルギー症状としては、じんましんやかぶれなどがあります。
司会:かぶれの原因はどんなものがありますか?
山本:身近なものとしては、湿布薬、化粧品、目薬、毛染め、ウルシ・植木などの植物類、ピアスやネックレスをはじめとする金属、鞄などの革製品など様々です。症状は、手や腕、顔など洋服から露出している部位にまず出るのが特徴です。症状はかゆみがある赤い斑点ですが、水膨れができることもあり、また、目のまわりに強い腫れが出ると、瞼が開かなくなることもあります。
司会:食事や薬はいかがでしょうか?
山本:くすりでもアレルギーをおこすことがあり、皮膚に発疹が出てきたり、場合によっては肝機能障害をおこすこともあります。薬は、病院で出されたものはアレルギーが出ない安全な薬だと誤解している方がいますが、これは違います。この他、希ですがアナフィラキシーショックといって、血圧の低下や意識消失などのショック症状をおこす場合もあり、注意が必要です。このような重篤なケースは、薬剤の他、毛染め、あるいは小麦粉や魚介類などの食物抗原によって引き起こされることが多いです。
司会:診断はどのようにしてつけるのですか?
山本:発疹が出ている部位が、比較的限られていて、しかも衣服から露出している場所、例えば顔や手、腕などの場合は、なにかアレルギーを起こすものに触れたのでは、と疑います。湿布薬や絆創膏のかぶれのように、患者さん本人がかぶれの原因をすでにわかっていて、これこれにかぶれました、と言って受診されるケースもありますし、全くかぶれと気づかない場合も多くみられます。
司会:検査はどのようにするのですか?
山本:パッチテストといって、原因が疑わしいものを、腕とか背中に貼る、簡単な検査をします。これによって原因がはっきりする場合もありますが、原因をみつけるのは必ずしも容易ではありません。というのは、その原因は仕事で触るものかもしれないし、あるいは日常生活で身の回りにあるものかもしれませんし、たまたま普段の生活と異なる場所に行く機会があってそこで触れたものかもしれません。ですから、患者さん本人にも、もう一度自分の生活を思い起こしてもらう必要があります。また、たとえ原因が確定できなくても、塗り薬で軽快して、それ以後同じ症状がぶり返さなければ、原因はその時だけ皮膚に触れたものだろうと考えられます。逆に一旦軽快したかのようにみえても、また同じ症状が出てしまう、あるいは十分な強さの塗り薬で治療しているにもかかわらず今ひとつ反応が悪い場合は、原因が身近にあってまだ遠ざけられないでいるのだろうと推測されます。また、場合によっては、血液を採ってそれぞれの抗原に対するIgE抗体の値を測定したり、薬剤のリンパ球刺激試験という検査をすることも参考になります。
司会:生活上、気をつけることはありますか?
山本:アレルギーが成立するのは、通常、繰り返し抗原に暴露される必要があります。逆に言うと、アレルギーが成立するまでに時間がかかりますから、例えばある薬を飲んだ翌日発疹が出たとしたら、原因は前日飲んだ薬ではなく、少し前から内服しはじめた薬のほうがあやしいということになります。化粧品などもしばらく使用し続けないとかぶれは通常出来ません。また、美容師さんなどのケースでは、ヘアダイやパーマ液の場合が多いのですが、それらとの接触を絶たないと治りません。しかし、仕事で扱うものが原因の場合は、たとえ原因を推定することができても、実際はなかなか接触を避けられない場合が多いです。薬剤アレルギーの場合はできる限り原因薬を特定してもらって、それを紙に書いてもらっておくことが大切です。そして病院にかかる際に、それを医師に呈示して、アレルギーのある薬を処方してもらわないように気をつけて下さい。
司会:最後に、治療法について教えて下さい。
山本:治療は、症状を押さえるステロイドホルモンの外用薬を使います。それと同時に、一番大切なのは原因を遠ざけることなので、点眼薬や化粧品が原因として疑われれば中止して頂きますし、内服薬が原因と疑われたら原則として中止、または中止できない場合は他の薬剤に変更となります。原因がはっきり特定できない場合や、仮にわかっても、完全に接触を遮断できない場合も多く、治療に難渋して慢性に経過するケースも少なくありません。あるいは、毛染めのように、患者さん本人がなかなかやめられないケースもあります。そこがこういう病気の難しいところです。また、非常に強い症状をおこした場合は、ステロイドホルモンを短期間内服する場合もあります。

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