平成17年06月22日放送

輸血のおはなし
水戸協同病院
臨床検査部 臨床検査技師主任 根本 悦子
司会:今回は輸血というテーマですが、輸血はどの様な時にするのですか?
根本:輸血療法は赤血球、血小板、凝固因子の成分の機能や量が低下したときに補充する治療法です。主として救命のために行われます。皆さんは輸血より献血のほうが身近に感じるかと思います。
司会:献血なら私もした経験があります。それが輸血に使われているわけですね。
根本:はい。今回は献血から輸血されるまでに行われる検査についてお話ししてみたいと思います。
司会:では献血してまず行われる検査は何ですか?
根本:それは一般的に言われています血液型です。その場では仮にABO式、Rh式血液型の検査を行います。例えばあなたはA型でRh(+)です。と言われるわけです。しかし、ABO式血液型は正確には、おもて試験と、うら試験という二通りの検査が一致して初めて決定されます。一般的にA型・B型・AB型・O型に大別されますが、それで全てではありません。同じA型でも遺伝的に少し違った性質をもつ変異型と呼ばれるものがあります。そして、Rh式血液型に関しては(+)か(−)ですが、Rh式のうちD因子というものをもっている人が(+)で、もっていない人が(−)となります。Rh(−)の人は200人に1人といわれていますが、輸血は同じ血液型の人からうけるのが原則ですから、ABO式が同じでRh(−)となると、同じ型の割合はさらに低くなるわけですね。いざという時のために、自分の血液型はきちんと把握しておく必要があります。もし少しめずらしい血液型である場合には血液センターに登録しておくとお互いに助け合うことができます。
司会:血液型はもっと細かくあるのですか?
根本:はい。ABO式血液型をはじめとしてヒトの血液型、あるいはこれを赤血球抗原といいますが、29系237抗原が血液型として公認されています。これらの血液型が親子鑑定に利用されているわけです。
司会:その他に行われる検査は何ですか?
根本:まず輸血感染症の予防として、梅毒検査、HIV抗体、HCV抗体、HBs抗原などのウイルス検査、肝機能検査としてALTなどの検査、そして必要に応じて血液成分に関しての検査、その他に血液型の時にお話ししました赤血球抗原に対する抗体の有る無しの検査をしています。輸血後肝炎というのは聞いたことがありますか?
司会:はい、新聞等の報道でありますね。
根本:現在、B型・C型肝炎などのウイルス感染症は、検査法の向上により、それによっておこる輸血後肝炎はかなり防ぐことができています。しかし、それでも検査をすり抜けてしまうことがあります。その血液が輸血された後に肝炎を発症してしまうということなのです。皆さんが献血する時に書いている問診票は、情報をより多く得るという意味においても重要なものです。更に輸血を受けた方はその医療機関においてきちんとした説明と検査を受ける、という認識をもたれると良いかと思います。
司会:では、病院ではA型(+)の患者さんに血液センターから届いたA型(+)の血液をそのまま輸血できるということでしょうか?
根本:いいえ、確かに安全な血液製剤が供給されますが、輸血を受ける患者さんと基本的な血液型が同じだけですから、病院においては患者さんの血液と血液センターから供給された血液製剤を試験管のなかで組み合わせて反応させるという検査を行います。もしここで、凝集したり溶血するといった反応がおきたら、体内においても同じことが起こるわけですから、この製剤は輸血できないことになります。これが最後に行われる交差適合試験、クロスマッチと呼ばれるものです。この間にも何人もの眼で確認作業が行われ患者さんのところに輸血される製剤が届くことになります。
司会:これで安全に輸血されるわけですね。
根本:そうなりますね。しかし、輸血とは他人の血液が体内にはいるわけですから、悪寒がおきたり、蕁麻疹がおきたりと言ったといった軽い副作用が起こる可能性もあります。たいていの場合、白血球が悪さをすることが多いのですが、血液センターにおいて、あらかじめ白血球を除去して供給しようということも徐々に行われようとしています。もちろん輸血するにあたっては医師・看護師がきちんと管理しています。
司会:今回のことで、輸血の重要性が少しわかってきました。今までは献血をする時に「こんなに血液をとって大丈夫かしら?」くらいにしか思わなかったのですが。
根本:よくそう思われますね。人間の循環血液量は体重60sの人で約4,200mlと言われていますので、健康な人であれば大丈夫です。
司会:最後に輸血をするにあたって大事なことは何でしょうか?
根本:輸血とは一種の移植ですから、医師の説明をよく聞き十分に理解することが大切です。そして使用する医療現場では、人の善意によって提供して頂いた大切な血液ですから、適正に且つ無駄にすることのないように心掛けることが肝腎です。それが私たち医療従事者の責務であると考えております。

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