平成17年02月23日放送

心肺蘇生法と自動体外式除細動器(AED)について
総合病院土浦協同病院
看護部教育委員会 看護師長 宍戸 正子
司会者:今回は、土浦協同病院の看護部教育委員の宍戸正子さんにお話を伺います。
宍 戸:私は、看護部教育委員会で「救急コース」の教育を担当しております。コースでは、「科学的根拠に基づいた救急蘇生の理解と実践ができる」ということを目標に取り組んでおりまして、臨床での実践はもちろんのことですが、院外での活動にも十分発揮できるよう学習を重ねております。
司会者:院外での活動というのは、どのようなものですか。
宍 戸:厚生労働省の調べによりますと、心疾患による死亡者数は平成15年が16万3000人と年々増加傾向にあり、この内年間2〜3万人が病院外での心停止となっています。心臓突然死は、どこででも起こりえることで、7〜8割近くは家庭内で発生するといわれていますが、それ以外でもスポーツ観戦中やショッピングセンター、道を歩いていても遭遇する可能性があります。その様なときに的確な判断で素早く救急蘇生が実践できることと、どこででも起こりえることですから、多くの方々に救急蘇生法についての啓蒙活動をし、ひとりでも多くの方の命を救うことができるよう努力しています。
司会者:目の前で突然人が倒れたら、どうしたらよいのか戸惑ってしまうと思いますが、まずは何をすればよいのですか。
宍 戸:最初に声をかけてみて意識があるかを確認しますが、何も応答がない場合は、直ちに救急車を要請します。そして、救急車が到着するまでは、救急蘇生を続けなくてはいけません。まず、顎先を挙げることで気道を確保し、自分の耳を傷病者の口元に近づけて息をしているかを確かめますが、何も感じなければ人工呼吸をします。傷病者の鼻をつまんで口から息を吹き込み、胸部が持ち上がることを確認して2回行います。その後に息を吹き返す、身体を動かす、咳き込むなどの変化がなければ心臓マッサージを行います。マッサージは、胸骨(左右の乳頭間で固い骨)の上に両手を重ねて肘を伸ばし、傷病者を真上から見る位置で15回押しますが、1分間に100回のリズムです。余談ですが、「それいけアンパン」の歌などの調子が心臓マッサージのリズムと同じだと聞いたことがあります。救急車が到着するまで、心臓マッサージ15回と人工呼吸2回を交互に行って継続します。
司会者:傷病者のそばにいた人が直ちに救急蘇生を行うことやすぐに救急車を要請することでどの程度の効果がありますか。
宍 戸:人間は、心臓の動きによって全身に血液を送っていますので、心停止となると血液の流れが途絶えてしまいます。全身の主な臓器とくに脳への血流が3〜5分間、途絶えると組織に酸素供給もできなくなり、時間が経てば経つほど重度の機能障害もしくは機能停止、つまり脳死の状態に陥ります。救急車を要請してから、到着までの時間は、平均6.3分と云われているため、そばにいた人が救急蘇生を行うかどうかで11倍生存率が違うといわれています。そして、いちはやく心臓に電気的除細動を行うことで心臓の動きを再開させる確率を更に向上させることができます。
司会者:電気的除細動はどういうときに使うのですか。
宍 戸:電気的除細動とは、強い電気ショックによって心筋のバラバラな興奮を一定のリズムに戻すことです。心臓突然死の原因となる心室細動では、唯一の効果的治療法です。平成16年7月1日から自動体外式除細動器(AED)がある一定の条件を満たす場合一般市民なども講習を受けることで使用できることになりました。AEDは、器械のスイッチを入れ、音声やスクリーンに現れるメッセージに従って操作するだけで、傷病者の心電図を解析して適応(心室細動)であれば自動的に電気除細動が行われます。
司会者:AEDはどんな所に設置してあるのですか。
宍 戸:最近、国際線の空港内には、すべて設置されています。病院施設にもロビーやリハビリ室などに設置されている施設も増えています。また、人が多く集まるスタジアムやゲームセンター、フィットネスクラブや遊園地、映画館などでも身近に目にすることが増えてくるのではないかと思います。テレビなどで市民マラソン中に突然死などの報道や、記憶に新しいところでは、47歳の若さで逝去された高円宮さまのご不幸は運動中の出来事で、もしこのときAEDが設置されていたらと考えられた方も少なくないと思います。
司会者:救急蘇生法やAEDの講習会は、どこで受けられますか。
宍 戸:最寄りの消防署の救急救命士、救急隊の方々で行われる講習会は、市報などにご案内があります。また、土浦協同病院内でも、救急蘇生の講習会を定期的に開催し、どなたでも参加できるよう院内の掲示板にご案内しております。また、AEDの講習については、消防庁による現任教育プログラムがまとまり次第、普及に向けての動きがあるようです。救急蘇生法、AEDの使用方法を学んでおくことは、皆さんの大切な人をはじめとする救命に必ず活かすことができますので、講習会に是非参加されることをおすすめいたします。

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